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「じゃあ、帰るまでに給料用意しとくから。 制服はロッカーに置いて帰って。」 肩の荷が降りたように笑顔で去っていく店長に頭を下げて、フロアに戻ると。 微かに聞こえてくる呆れ声。 「悪い人じゃないんだけどね~。」 「でも、仕事出来なさ過ぎでしょ?とばっちり食うの私達だしさぁ。」 影口を聞こえない振りして、ダスターで手近なテーブルを拭く。 カウンター内で溜まる同僚達は、私がフロアに戻ったことに気付くと散々に持ち場へ戻っていった。 大して汚れてもいないテーブルを懸命に拭くのは、情けなさを誤魔化す為。 学生ですら普通にこなしていることなのに、たった2週間でクビだなんて―――。 .
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