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烏影舞斗は、病室のベッドに背中を預けながら、窓から見える青空をぼんやりと眺めていた。
「おまたせ」
「遅いぞ。どこほっつき歩いてたんだよ!」
とそこへ、一人の少年が現れる。その少年はやつれた金髪が特徴的で、ダボダボの白衣を身に纏っていた。
「はい、コーヒー牛乳」
木原解離はレジ袋からコーヒー牛乳が500mlほど入った紙パックを一つ、舞斗に手渡す。
「サンキュー」
受け取ってすぐに舞斗は紙パックの口を開け、コーヒー牛乳をゴクゴクと飲んでいく。
「ちょっと知り合いに会っちゃってね。一緒にお昼食べてたんだよ」
「不味い飯食わされている最中にのんびりお食事かよ。この野郎てめぇ……」
「悪かった悪かった!謝るからその右拳をどうか抑えて」
ふんっ、と鼻を鳴らし舞斗は再び窓の外や眺め始める。
「眼の調子はどうなんだい?」
「まぁ、上々だ。やっと見えるようになってきた」
舞斗の右眼は、澁谷炎下という男との戦闘中に光を失った。それを見た冥土返しは新しい眼を用意し、舞斗の新しい眼として機能させたのだ。
だが完全にその眼が順応するまでにかなりの時間がかかるらしかった。
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