Ep.φ 歴史を守りし心

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Ep.φ 歴史を守りし心

この世界には、長い平和がある。 他の世界には無いような位の、とても長い平和な歴史だ。 その長い歴史は、"ヴァンガード"によって作られた。 ヴァンガード。それは、人の心を具現した物。 この世界の人々は皆、歳が10になると、成長の証として各地方に存在する「心の在処」と呼ばれる聖域にて、自らの心をカードとして具現化する。 そして子供達はその、カードという名の自らの心を手にし、生まれた時に親から受け継いだ"天職"を全うするのだ。 この世界に生きて来た人々は、皆これの繰り返しだった。 人々は皆、これを繰り返した。なんの疑問も持たず、なんの不満も持たず、この世界に"人"と言う種が現れてから、今日まで。何も疑わずに。 その結果、今この世界がある。 人々は純粋で、単純だった。 この明らかに単調なサイクルを当たり前だと思い、このサイクルが崩れる可能性を、崩れる瞬間を、欠片もイメージもせず生きてきた。 しかし――― こんなちっぽけな平和が、今日まで続いていた事自体がおかしかったのだ。 こちらの世界に生きる貴方達なら、誰でも分かるだろう。 そんな作り物の様な平和が今日まで続いてしまった、その異常さに。そして、その異常さに気付かない、この世界の住民の異常さに。 そして今、この歴史は崩れようとしている。今、まさに。 だが、この平和がいつまでも続くと信じてやまないこの世界の住民は気づきもしない。 今までなかったような、世界の危機に。 音もなく忍び寄ってくる、大きな闇に・・・・・・・・・・・・
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