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珍しく積極的に話を進める神保原に押され、その日の放課後、俺は早速彼女の自宅へと向かった。
途中の廊下にて、虐めっ子のあいつに足をかけられて無様に転んでしまったことは、忘れることにする。
「愛本やコウタロウに中身が違う人だって説明は?」
「色々と面倒だから、しなくていいわ。溝田君は神保原ウミ子になりきって楽しんできて」
楽しそうだとは言ったものの、責任重大な気もする。
とにかく余計なことは言わず、状況だけ見て楽しんでくるべきか。
「『HEART』の本体って凄く大きくて重いけれど、頑張って学校まで持って来てね。急かしはしないし、いつでもいいから持って来て頂戴」
「神保原がそこまで言うなら、明日にでも持ってくるよ」
「ありがとう、嬉しいわ」
頭のてっぺんから指先まで固い金属部品を装着すると、神保原の声を合図に意識が飛んでゆく。
ものの数秒だ。
次に目を開けた時、俺は『HEART』世界である自分の部屋のベットに寝転んでいた。
しかし、辺りを見渡すと構造は同じでもインテリアが女子っぽい。
『おはようございます、神保原様』
「愛本か?何か変な感じすんなぁ」
『あらまぁ、どうしたんですか。その男っぽい言葉使いは』
お城にあるような鏡台で顔を確認すれば、リアルの神保原のままだった。
胸に手を当てれば、ふにょりと柔らかな感覚。
――これが女の胸……。
「へぇ、なるほど。こういう感じなのか」
二の腕より柔いじゃんか、とニヤニヤしながら制服に着替える。
神保原だから欲情はしないが、女っぽい艶やかな髪の毛、プリーツスカート。
まるで女装している気分だ。
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