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-佐藤可純
気持ちが爆発してしまった。
私はこんなに脆かったのだろうか。
ひたすら我慢で済む話だったのに、大切な人を巻き込んでしまった。
辛いだけで乗り越えられる予定だったのに、乗り越えなければならないと分かっていたのに。
よりにもよって、一番笑顔でいてほしかった島津君の手を掴んでしまうとは――
「正直信じらんない話だけど、本当なんだろうな。そりゃあ、今まで相当辛かっただろ」
「ごめんね」
「あぁもう、だから何度も謝るなって言ってるだろ」
あの後、泣き疲れてクタクタになった私は、招かれるままに島津君の自宅にお邪魔して、親子水入らずの誕生日パーティーに、飛び入り参加をさせてもらう形になってしまった。
本当に迷惑な話である。
ぼんやりしたまま彼の優しさに甘え、心の準備もなくご家族と顔を合わせるなんて。
非常識な行動に何度も頭を下げ、すぐに自宅に連絡を入れて帰ろうとしたが、ここまで来てはあちら側も無下に追い返せない。
『あらま、佑馬の彼女?』
嫌な顔一つせず、事情聴取もせず、笑顔で招き入れてくれたお母さん。
あぁもう、今度お詫びの品を持って、改めて訪ねよう。
自分の世間知らずさが嫌になる。
土下座したい……。
「暗い顔するなって。俺に話したこと後悔してんの、それともうちに来たこと?」
「……どっちもです」
食後、プレゼントのホールケーキと、家で準備されたバースでケーキを一緒に頂いた後、私は島津君の部屋へと通され、今に至る。
初めて入る彼の部屋は、うちの弟の部屋に比べるとずっと片付いていて、清潔感があった。
「どうこう言おうと、もうしてしまったことは仕方のないことじゃん」
ネガティブだな、と言って島津君はベットの上であぐらをかく。
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