476人が本棚に入れています
本棚に追加
「これからどうするかってことはまだよく分かんねーけど、俺は佐藤の気持ち、聞けてよかったよ」
完全プライベートな島津君が、今、私の目の前にいる。
思い出すのも恥ずかしい口づけを交わした後だから、何とか平常心を保てているが、信じられない光景だった。
「俺、嫌われてるんだと思ってたよ」
「そんなはずっ……ない、じゃん」
「いやいや、お前の俺に対する態度、周りと比べて結構酷かったと思うけど」
それは、気恥ずかしさや、自分の想いを隠すのに必死だった故に。
自覚はなかったが、私なりの精一杯の対応だった。
「俺、ちゃんと味方するから。だから溝田とのこと、どうにかしないとね」
喋ってしまった時点でアウトのような気もするが、島津君の言葉は不思議と心強い。
「佐藤の助けになれることは何でもするから、遠慮しないで言えよ」
「うん、ありがとう」
目が合うと、島津君はニッコリ笑ってこちらに近付いてくる。
「はい、笑うー」
私の両頬を摘まむと、グイッと上へ持ち上げて声を上げて笑った。
「変な顔」
「……う、うるふぁいな」
「ちゃんと喋れてないよ」
言いながら近付いてくる瞳に目を瞑ると、唇に熱を感じる。
駄目だ。
私、島津君のこと、好きだ……。
「でも、付き合ってるわけじゃないんだし、あんまりベタベタするのも駄目だよな」
最初のコメントを投稿しよう!