世界と理由と、彼らの存在に――

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ドンドン、バキバキ、バリンッ。 ゴーゴー、ガシャガシャ、ドカンッ。 鼓膜が破れてしまうくらい大きな音が体内を駆け巡り、真っ白な空を無数の赤い稲妻のようなものが落ちてくる。 そして、落ちた先の地面を跳ね返った"赤"は液体となり、残酷に街を染めた。 まるで……血が吹き出ているような光景だった。 「……っ藤!佐藤!」 轟音の中擦れ気味に聞こえた島津君の顔は、白色に包まれて輪郭を無くしている。 彼の手は私の腕を引っ掴むと、どこかへ走り出す。 しかし、刃物のような鋭い風は自然を拭き散らし、空気を切り裂いた。 いや、風とは呼べぬ、凄まじい衝撃だった。 赤い衝撃は私達を引き剥がし、両者を吹き飛ばす。 本当に、一瞬だった。 感じたこともないスピードでコンクリートの地面に体を打ち付けた私の視界の先には、痛みを感じるよりも前に――液体に染まった島津君の体。 電柱に体を預けたままピクリとも動かぬ彼に、続けて赤い稲妻がぶつかって、血液のようなしぶきを飛ばす。 強い光で見えなかった顔が、赤黒く濡れていた。 「しっ、まっ……!」 行かないと。 何を考えるより先に、私は声帯を震わせて立ち上がる。 しかし、起き上がろうとした途端、背中からお腹にかけて内臓をえぐられたような痛みが走り、私の腹部からも赤黒い液体が吹き出ていた。 同時に、口内に生臭い鉄の味が広がる。 紛れもなく、血だった。 「島津くっ……!」 意識が薄れていく中で彼に手を伸ばす間にも、光に打たれ続ける島津君の顔に生気はなかった。 眩く暴虐な光景の中で、最後まで私の目に映っていたのは、死んでしまったかのようにぐったりしたあの子の肉体だけ。 赤い稲妻と液体は、島津君を容赦なく叩きのめしてしまった。 ……本当に、あっけなく。
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