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「圭吾、大丈夫か」
「嫌でも学校は来なきゃならないしな」
翌日、口煩い母親にも心配される程弱った俺は、昨日助けてくれたキモトにもろくに笑顔を向けることができなかった。
「あの後すぐに『HEART』に行ったけど、取り返しのつかない状況だった」
「それって……」
「俺、製作者知ってんだ。だから、今その人に見てもらってる。でも多分、もう無理」
派手に暴れていた姿を見ていた連中が、チラチラこちらを伺っているが、全く緊張しない。
噂話ができるくらい呑気な世界が、くだらなく思える。
どうせ俺は、ブスでオタクで誰にも相手にされないような生徒だったし、今更ここでどう思われようが関係ない。
人間ここまでくると、何もかもがどうでもよくなるんだと感じた。
「でも、キモトには感謝してるから」
「さすがにやべぇと思ったし、俺もあいつ許せなかったから、ガツンと一発くらわせたぜ」
「……ん、ありがとな」
「てか、それよりさ」
キモトの話によると、あの後例の虐めっ子は、俺のクラスの正統派リア充に呼び出されたらしい。
信じられないが、彼らはあいつにやり過ぎだと怖い顔を向けた……と。
「だから、俺達は堂々としてていいぜ。あいつはもう何もしてこないと思うから」
「嘘だろ。リア充がこっちを庇ったって?」
「おうよ、正直俺も見直した」
まるで、島津佑馬のような存在だ、と思った。
そんなリア充、俺の現実世界にもいたのか、と。
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