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そうこうしているうちに期末テストが終わり、毎年楽しみにしている夏休みがやってきた。
今年の夏は特に暑く、無駄に晴れやかな日が続いている。
「圭吾、今年はパーッとどこか遠くにでも行こうぜ」
「あら、いいわね。私も一緒に出掛けたいわ」
「そうだな、どこか行くか」
……なんて会話をして、早一週間。
俺はクーラーの効いた部屋の中で、ずっとベットに寝転がったまま。
学校へ行って嫌いな授業を受けている時の方が、まだ気が紛れていた。
他のゲームに夢中になることも、又、新しいゲームを買うこともなく、時間だけが過ぎてゆく。
『溝田様、時間が勿体ないですよ』
時折、いるはずのないの愛本の幻聴が、俺を苦しめた。
「圭吾、せっかくの夏休みなんだから、キモト君とどこかへ出かけたら?」
「いつか行くよ、いつか」
誘われれば外に出たいのだが、自ら何かをしようという気力は沸かない。
涙は枯れたはずなのに、何でもないふとした時にうるっとくる。
そう、こんな風に、空を見上げた時なんか。
――あぁもう、駄目だな。
俺はいつまで『HEART』を待てばいいのだろう。
諦める努力をしていいのかも分からず、思いは全て後悔へと繋がった。
あの時『HEART』を持って来ていなかったら。
あの時『HEART』を守れていたら。
そしたら俺は――。
そんなある日、近くで大きな花火大会があるらしく、神保原から連絡があったのは当日の朝のことだった。
「午後六時にM町のCストア前に集合でいいわね」
「え、二人で行くのか?」
「えぇ、何か問題でも?」
キモトを誘おうとしなかった神保原は、一方的に時間だけを告げると、プッツリと通話を切ってしまった。
こりゃあまた、いきなりな話だな。
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