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始まった大学生活、一回生の時間割はきつくて予想を裏切られた。
朝九時から夕方六時までみっちり授業ともなれば、間数時間は意識朦朧とする時もある。
でも、高校生活に比べれば何のその。
"自由"で時間のある学生生活は楽しくって、俺はキモトと一緒にボランティア同好会とやらに入部し、週末になると病院や老人ホームを訪れた。
新しい発見の連続だ。
今まで部活に入っていなかったから"仲間"という感覚は新鮮で、人の役に立つことをして、感謝されるという経験も初めてだった。
「実は俺、圭吾に報告がある」
そんな中、一回生の夏季休暇を迎える頃、キモトは俺の元に女を連れて来た。
「俺、彼女ができたんだぁ」
――うっわ、神保原に似てる。
まともに口にしたことはなかったが、高校の時、キモトは神保原に恋心を抱いていたようだった。
どうりでそっくり。
「めっちゃ可愛いだろ」
しかし、ついにデブでオタクのキモトにも先を越されてしまったか。
チクショウ、と思いながら苦笑いでハイタッチを交わす。
「圭吾はウミ子ちゃんと連絡は?ちゃんと取ってる?順調?」
「まぁ取ってるよ。ってか、待てキモト、神保原とはそういう関係じゃねぇし」
「時間の問題ってことっすかね」
神保原とは、この夏季休暇中に顔を合わせることになっていた、が――
「神保原?……別人みたいだな」
「あら、溝田君こそ同じじゃない。ばっちりオシャレしちゃって」
人のことは言えないが、俺の前に現れた神保原はとても……とても、美しかった。
化粧の力か、女らしいワンピースのせいか、足が綺麗に見える高いヒールのせいか。
分厚い眼鏡を外した瞳は綺麗で、夏風になびく真っ黒のロングヘアーは艶めかしい。
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