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俺は適当に呟くと、廊下に目をやった。
──決めつけんなって、俺が偉そうに言える台詞じゃないだろ。
最初から結果を決めつけているのは、自分も同じだった。苦手だったり、嫌なことがあると、すぐに目を逸らし、逃げ腰になって、最初から負けた気になっている。
でもそうやって生きることは安全で、楽だった。
どうにかこの根暗で投げやりな性格を変えたいとは思っていても、きっかけもなかったし、最初から頑張る気力もなかった。
「あ、圭吾、五限目の数学の小テストの勉強やってきた?」
「やってねぇ」
「俺らが真剣にやった所で点数知れてるしな」
キモトと俺は目を合わせて苦笑した。
早く家に帰りたい。自分の部屋は好きな物だけが集まる、俺だけの特別な空間。
更に大好きなゲームの中に入り込めば、世界の中心、主人公、リア充になることが出来る。キャラクター達は皆当たり前のように俺を受け入れてくれた。
「終礼終わったら即行帰るから、キモト話しかけてくんなよ」
「こっちのセリフだし!俺だって早く家に帰りたい」
放課後になると同時に、俺とキモトは競争に近い感じで学校を飛び出した。自宅までは自転車で二十分。
放課後の部活とか、売店とか食堂とか。お喋りとかデートとか、そんなの知らねーよ。
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