プロローグ

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*  自転車をかっ飛ばして家に到着すると、靴は脱ぎ散らかし、そのまま階段を上り二階の自室へ向かう。 「ちょっと圭吾ー、帰ったの?」  背後から母親の声がしたが、振り返ることはない。帰ったよ、と聞こえる程度の返事をするとバタンッと扉を閉める。  俺の部屋。俺の匂い。俺だけの空間。 「ただいま」  胸いっぱいに空気を吸い込むと、ベットに飛び込んだ。見上げた天井には、大好きなアニメのポスターが貼ってある。あぁ、なんて居心地が良いんだろう。  そのまま一時間くらい昼寝をした後、俺は勉強机の上に設置してるパソコンに向かい合った。型はそんなに新しくないが、とても重宝していた。  ──何か面白いネタ転がってねーかな。  最近切ったばかりの髪の毛をバサバサかきながら、インターネットを開く。  明日のことなんて何も考えていない。考えても、空しいだけだ。こういう時間が俺は好き。 「え、『HEART』が抽選で当たる……?」  ふと、思わぬ素晴らしいページに出会ってしまい、俺は画面すれすれまで顔を付ける。一等が一名で『HEART』、二等や三等も中々な商品だったが、そこに意識は向かない。  ──つっても、こんなの当たるわけない……か。  でもとりあえず応募だけでもしてみよう、と駄目元で情報を書き込み送信する。  これで当たりでもしたら、なんて甘い考えは浮かばない。図書券でも当たれば幸いだ。
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