世界の何処かで、何かがハジケタ

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* 「何か今日可純、甘ったるい匂いがする」 翌日、学校へ来て一番。 トモミが私の周りをクンクン犬みたいに嗅ぎ回る。 バレるわけにはいかない。 「朝、ホットケーキ食べたからかも」 後ろ手にあるケーキボックスの隠された袋を、誤魔化すようにそそくさと自分の席へ急ぐ。 そしたら、横を通っただけの溝田君も同様に 「ホントだ、佐藤さん何か甘い匂いするね」 ――そんなに匂う……!? 「香水か何かつけてる?」 「何もしてないよ、ホットケーキホットケーキ」 今度は溝田君に袋を隠しながら、やっとこさで席に辿り着くことが出来た。 ケーキボックスの入った袋は、ロッカーの奥に丁寧に隠す。 正直、物凄くはりきってしまったかもしれない。 ケーキはデコレーションまで完璧。 本番は今夜なのに、トモミには申し訳ないことをしているのかも。 でもこんな機会、もう二度とないことだと思ったら、手を抜くことは出来なかった。 「おう、コウタロウおはよ」 今日も朝から笑顔の島津君は、いつもと変わらない。 昼休み、何とか理由をつけて屋上へ向かう体に緊張が走る。 ――軽い口調で言われたのだから、軽いノリでいかないと。 そう思っていても島津君を前にすると、中々笑えない。
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