プロローグ

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 今年もクリスマスは寂しく自宅で過ごし、窓の外を眺めながら虚しい気持ちになった。今頃街は人で賑わっていることだろう、羨ましい。  ──俺もいつか、大好きな人と……。  ゲーム内には何人も彼女がいる。彼女達はいつも笑ってくれて、どんな俺のことも受け入れてくれる。でも、心がない。  確かに現実の彼女にも憧れがあるけど、自分なんかを好きになってくれる人なんか、まずいるわけがない。  ──俺は駄目人間だし、諦めるしかないかな。  何とか嫌いなクリスマスを終えると、あっという間に大晦日、正月になり、慌ただしい日々を送った。  キモトとは初詣で顔を合わせた。真冬だというのに、ほんの少し歩くだけで火照っている。人の集まる有名な神社だったから、参拝するまでに人波に揉まれる。 「だいたい人多過ぎるんだよ。何で俺が他人から押されなきゃいけないんだ」 「文句があるんならお前が来るな」  新年早々の文句に悪態をつけると、キモトは大きなグローブのような手で俺をどつく。加減してるんだろうけど、力が強くて思わずよろけてしまった。  ──大きな願いなんてしないから、それなりに楽しい一年をよろしくお願いします。  お参りをする際には、あまり力を入れ過ぎないよう心がけた。それなりの毎日を繰り返せるならば、もうそれで十分だと思ってる。凡人は凡人らしくしてればいいんだ。
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