476人が本棚に入れています
本棚に追加
放課後、溝田君と歩きながら帰っていると、ポケットに入れていた携帯が震えるのが分かった。
メールなら無視しようとしたが、中々振動が収まらない。
不思議に思い画面を確認してみると、着信相手はトモミ。
――電話って珍しいな。
「トモミから……ごめん、ちょっと電話出てもいい?」
「いいよいいよ」
溝田君は頭の後ろで鞄を抱え、頭をグルグル回している。
授業にお疲れのようだ。
「もしもし?」
『可純!?聞いてよ』
着信ボタンを押すなり、耳に怒声が飛び込んできた。
思わず携帯から距離を取ってしまう。
別れるまであんなにご機嫌だったのに、短時間の間に一体何が起きたのだろう。
「どうしたの」
『桜子ちゃんに嫌味言われた!』
「はぁ?」
『昼休み佑馬達と絡んでたじゃん。あれが気に食わなかったみたい』
「えーっ……ホントに?」
疑ったわけではないのに、聞き返すとトモミはブチギレてしまった。
『何よ、あたしの言うことが信じらんないっての!?』
「違う違う、さっきのは信じられないって意味じゃなくて……」
驚いた。
今までこんなことはなかった。
桜子ちゃんはいつもニコニコふわふわ。
守ってあげたくなるような、可愛らしい女の子。
何だかんだで寛大な心を持つトモミを、ここまでキレさせるとは相当な嫌味だったのだろうか。
想像出来ない。
最初のコメントを投稿しよう!