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翌日、現実世界での自室にて。
朝一番でメールを確認すると、ブログの管理人から返信が届いていた。
コメントのお礼と、個人的な情報交換をしてくれる、とのこと。
遅刻ギリギリまで粘って、長文を送った甲斐があった。
「うっし!」
嬉しくてガッツポーズ。
でも昨日は、両世界での鬼畜なマラソンのせいで、俺の体は悲鳴を上げていた。
ブログの方も覗いて見ると、そちらはいつも通り穏やかな学校生活の様子が書かれている。
『HEART』をしていると、只でさえ時間が足りない。
そんな状況で毎日ブログを更新しているというのは、本当に凄いことだと思う。
まずは警戒心を取っ払ってもらう所からスタートだ。
いつか『ズルい方法で、恋人を作ってしまった』ことを詳しく教えてもらいたい。
「それではまた、お返事待ってます」
口にしながら猛スピードで文章を打ち、急いで家を出ていく。
今日も遅刻ギリギリになりそうだ。
「おはよう」
「おー、おはよ」
校門に近付くにつれ、制服姿の学生達が増えてきた。
皆笑顔で、勉強はきついけど友達と話すのは楽しいって感じ。
リアルの俺には、あんな顔出来ない。
――すげーな。
自信満ち溢れている、若者らしいパワーをヒシヒシと感じ、下を向いた。
でも、大丈夫。
俺はここじゃなく『HEART』で頑張ってる。
ただ、それだけのことだ。
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