世界の何処かで、何かがハジケタ

19/33
前へ
/253ページ
次へ
* 桜子ちゃんとトモミさんの仲が悪くなってから、数日。 「別に佑馬君のこと何とも思ってないなら、それでいいのよ……別に」 友達に愚痴を言う桜子ちゃん。 「何今更。ホント、桜子ちゃんのあの時の顔ったら怖かったー」 苦笑する佐藤さんに、怖い顔をして話をするトモミさん。 休み時間、俺はコウタロウの席で彼女達を見比べていた。 「女ってこえーな」 「だなー、男はここまでネチッこくないよな」 感慨深く告げるコウタロウを見て、自分も頷く。 ――誤解が解けたんなら、それでいいじゃん。 なのに、未だ二人は口をきいていない。 トモミさんを見つめる佐藤さんは、揉め事は嫌だからと双方をフォローするが、その成果はない。 「ま、男女のことになると、女は熱いってことだよ」 既に彼女がいるコウタロウには、余裕が見え隠れ。 「……にしても、原因の佑馬は知らん顔ばっかってズリーよな」 コウタロウが指を差した先には、クラスメイトと話をする島津。 スポーツ雑誌なんか広げて、フォームについて熱く語っているその姿には呆れてしまう。 「島津、どうでもいいのかな?」 「そんなとこだと思うよ。あいつにとっちゃ桜子ちゃんもトモミも友達だし、どっちかの味方になったりとかはないと思う」 「島津って桜子ちゃんのこと好きじゃないの?」 「ないない、あいつは友達として仲良くしてるだけ」 コウタロウは笑って即答した。 「へぇ……」 あれだけ可愛い女の子なのに、島津は桜子ちゃんのことも、ただの友達としか思ってないのだろうか。 恋人に見えるくらい仲が良く、今すぐくっ付いても不思議に思わないからこそ驚いてしまう。
/253ページ

最初のコメントを投稿しよう!

476人が本棚に入れています
本棚に追加