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「なぁ愛本、一つ気になってて聞きそびれたことがあったんだけど」
現実世界に戻る直前、ふと忘れていた疑問が過ぎってベットに座る。
「俺、もしこの世界で死んじゃったら……どうなんの?」
リアルでは生きているのに、一生目を瞑ったまま?
そんなの怖過ぎる。
なんてグチャグチャ色んな想像を膨らませていると、耳元で即答された。
『命を絶たれることはありません』
「どういうこと?」
『現実世界に帰れなくなるのは困ります。ここではどんな状況であれ、プレイヤーの命がなくなる心配はないので、ご安心下さい』
「はぁ……すっげーな」
じゃあ、あの時車にひかれていても、命がなくなることはなかったのか。
『HEART』の世界で生きている人間は死んでも、俺は死なない。
理不尽な気がしないわけではない。
でも、考え始めると奥が深過ぎて、何をどこまで質問していいのかも分からず、頭が痛くなってきた。
とりあえず俺は素敵な恋をしたいだけだ。
「焦らずゆっくり、だよね」
『はい。でもそうは言っても、周りの時間が止まっているわけではないですからね』
「お……?いつもと言うこと違うくね?」
最近までは桜子ちゃんの時のように、また空回りをしないようにと注意されていたのに。
『溝田様は学校生活を十分楽しんでいるように見えるので、そろそろ恋愛モードに入っても良いのではと思ったので』
「へぇ、俺のことちゃんと見てんだね」
さすが愛本。
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