世界の何処かで、何かがハジケタ

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-島津佑馬 「桜子ちゃん?好きじゃないよ」 ある日の昼休み、何気なく聞いてみると溝田はあっけらかんとした。 どうやら最近桜子の名前を聞かないと思ったら、そういうことだったのか。 まぁ、自分にとっては関係のないことだから、これ以上は突っ込まない。 「じゃあ、圭吾は他に気になっている子いないの?」 ムシャムシャお弁当を食べながら、コウタロウは溝田のことをジロジロ見る。 コウタロウは恋愛話が大好きだ。 「気になってる子はいるよ」 「えー、マジで!誰、誰?」 教室内をキョロキョロ見渡すコウタロウに、溝田はクスクス笑った。 サラサラの前髪も一緒に微かに揺れ、何でもない光景なのに絵になる。 「佐藤可純」 「へぇー!確かにお前らいっつも二人で帰ってるもんな」 「何でもない子だと思ってたけど……笑った顔がとんでもなく可愛いんだよね」 佐藤は一体どんな笑顔を見せたのだろう。 薄ら微笑んでいる姿しか思い浮かばない。 溝田はどうやって彼女を笑わせたのだろうか。 「……うん、いいんじゃない?」 俺は照れ笑いをする溝田に親指を立てた。 「佐藤って彼氏いなかったの?」 「前聞いたらいないって言ってた。本気で好きになった時は、コウタロウも島津も協力してくれる?」 「出来ることがあったらねー」 頼る前に自分で頑張れよ、と可笑しくなって笑ってしまう。 ――気になる人や好きな人がいる時って、毎日がもっとキラキラしてるもんな。 佐藤の名前を口にする溝田は楽しそうだった。
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