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『七海!おまえ、最終の進路希望用紙、出してないだろ?! 知ってるよな、期限、一週間前だって。黙って待っててやったが、何も言ってこないし。いくら温厚な俺でも、もう黙ってらんないぞ!家に連絡するぞ!』
いつになく、えらい剣幕でまくしたてていた。
学年主任にでも、イヤミ言われたんだろ……きっと。
ちっせー男。
『なー、出してなかったの? とりあえずの大学じゃないん?』
『せんせ! 将来の大事な進路ですぜ、そんなに簡単に決められませよ。』
何気に、はぐらかしてみた。
本当のところ、忘れた訳ではなく、考え過ぎて、ドツボにハマってしまったのだが……。
『何、チャラケてんだ。また、1人で悩んでんじゃないのか? ちゃんと話し合ってこい。まだ、待っててやるから……。分かったな!』
そう言うと、持っていた書類でぽんっと軽く頭を弾くと、職員室の方向へ去って行った。
なんだ……分かってくれてんのか。
少し嬉しかったが、そんな素振りは間違っても出さない……だって、どSのなーだから。
すると、すかさずうーたんが、
『やっぱ、倉地は良く出来た教師だよねぇ~。』
『うーたん、上から目線じゃね?』
『あはは……、なーには負けるけどね。でも、 時間貰ったんだからさぁ……考えるべ、なー!!』
『だな……。ん……だ。』
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