七海の物語 ①

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学校から駅まで、街中の繁華街をお喋りしながらフラフラあてもなく歩く。 どの高校生もしていて、大人の目にはくだらないと映るだろうが、こんな他愛もない事が楽しい。 電車で5つ目の駅が自宅のある駅で、駅前からずっと住宅街が続く。 その中程のところに、あたしとうーたんの家はあった。 うーたんの家は公園を挟んで前と後ろである。 じゃあ、と、手をあげそれぞれの家の中に入っていった。 別れ際、うーたんが 『今日は、もうメールしないかんね!』 と、一言。 付き合い長いから、良くあたしの事わかってる。 あたしは、 『おー!』 と、一言だけ短く返した。 門まで来ると、家に灯りが付いている。 (お兄ちゃんは、実習のはず……パパか……ちっ! 倉地の奴、手まわしやがったな……。) 重い気分でドア手をかけた。
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