第1話

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 そんな頃だった。彼女の恋が、スタートラインに付き始めたのは――  僕は彼女の心に何が起こっているとか、そんなことに、疎かった。というか、彼女はきっと、僕と両想いだという自惚れで周りを見れなくなっていたのかもしれない。  とにかく、僕がグズグズと何も行動を起こさず今までどおりに接している間に、彼女は着々と恋を成就させる方向に進んでいた。 少し前までスタートラインに立っていた彼女は、クリスマスを直前にした今では、僕の遥か先、見えないくらい遠くを走り続けて、いる。
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