あなたの愛が欲しいのです

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『へーた、この子なに。彼女?』  あたし、中学三年生。へーちゃんが大学二年生の夏。二人でお祭りに行ったときのことだった。 かき氷片手にぷらぷらと出店を見回して、人混みを掻き分けながら歩いていたとき、彼が急に声をあげた。 「ひろき、しょうた!」 それは、ひどく明るい声だった。あたしの知ってる、彼ではなかった。 あたしの知ってる彼は、静かで落ち着いていて、でもたまにふざけたように意地悪なことをいって。けれど、こんな明るい声を、あたしは知らない。
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