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彼女の手には、“なにか”が形になってきていた。
もう少しで完成じゃないか。
彼女の表情には少し笑みが混じり始めた。
(たまにはこうやって眺めているのも悪くない)
チクチクと針は進んでいく。
綿の入ったフェルトはぬいぐるみのようだ。
「…………できた!」
彼女が喜びの声をあげた。その表情は満面の、笑顔。
「かなちゃん、かなちゃん。これ、何だと思う?」
無邪気に俺に見せつけてくる。
真っ白な丸い物体。
……ちゃんと目も鼻も口もあるらしい。胴体部分と顔の部分とも別れてる。
猫のような耳……けどでかいか?
犬な訳はなさそうだ。くまでもない。
(これ、間違えたら……泣くな。絶対)
必死に頭を悩ませていると、彼女が目を輝かせているのが目に入った。
あーもう!
「………うさぎ?」
一か八か……間違ってたら終りだ!
しばしの沈黙。
あいつからは正解とも不正解とも読み取れない。
「あったりー!これね、かなちゃんにお誕生日のプレゼントだよ」
ニコニコして両手で差し出してくる、彩帆。
え……
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