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「気づいてないと……思ってたの?」
え……と目を丸く開いた。
気づいてた。もう何ヶ月も、エンジェルハートの香水の香りがする。
「じゃあ、失礼します」
彼の前から去ることが、こんなにも苦しい。
でも、それ以上に彼のそばにいることが、辛い――
わたしは涙が溢れるのをグッとこらえて、席をたった。
そして何も言わないまま、彼の横で立ち止まった。
彼はわたしを引き留める様子もなく、座っていた。
じっとわたしの飲みかけの紅茶を見つめてた。
ウエイトレス横を通り過ぎたとき、持ってきたコーヒーの香りが、わたしの涙腺を余計に刺激する。
千葉先輩、コーヒーばかり飲んでたから。
「のぞみ……ごめんな」
彼は小さく呟いた。
もう、サヨナラだ
「先輩のこと、大好きだったよ」
(ずっと、ずっと信じてたんだよ)
2010.11.12
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