第7話

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 別に、特別親しい訳じゃないけれど。  わたしは彼のことが、好きだったりする。 「怜ちゃんさぁ、たまには声かければいいじゃん」  一番仲がいい友達の美佳がいとも簡単なことみたいに言う。 「それができれば苦労しないのー」  ほんと、わたしだって夏目くんと話したいにきまってるじゃない。  一度、体育祭のリレーで一緒のチームになって、声かけられたんだ。  でも彼が目の前に来た途端、カチンコチンに固まってしまった。  口を開けば噛みまくり。  きっとでき損ないのタレントさんの幽霊でも乗り移ってきたんだ、とかバカなことまで考えた。  結局、その時以来接点なんて何もなくて。  ぼーっとしているうちにもう2年が過ぎようとしていた。  受験を控えた今、告白なんてするわけにいかず、 ただ、毎日このお昼休みに中庭で、一瞬彼とすれ違うだけの日々を送っている。
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