第8話

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 ……なんかイラってするんだよね、あーいうの。  わたしの彼氏・尚樹はモテるわけじゃない。  いつも周りにはたくさん人はいるけれど、(半分は女子だけど)尚樹は別にモテる訳じゃない。  平凡な顔立ちに、平均的な身長。平均以下の成績に、平均的な運動神経。  それが、“尚樹”、  なんだけど………… 「もー尚樹くんてばー」 「尚樹アホ丸出しだろ」  あははは、とみんなが声をあげて笑った。  彼の周りでは、笑い声が絶えない。  天性の才能だ、あれは。  普通に話しているだけなのに、周りを笑わせる、明るくする、楽しませる。  そんな人が、クラスの中心にいないわけがない。 「紗依、さーえ、」 「ほら、シワよってるよ」  葵が眉間を指でつついた。  葵は今年卒業した先輩と付き合っている。  だからなのか、どこかわたしよりも大人な感じがしたりするんだ。  わたしは彼から目をそらした。  いつからか、モヤモヤしたものが、わたしの中を支配していっている。 「はぁ……」  (もうわけわかんない)
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