第1話

2/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
奄美民話・・・第一話「けんむん」 奄美大島で昔 けんむん という怪物が住んでいました。 怪物といってもそんなに怖い生き物ではなかったようだ 体は大和でいう河童とよく似ているが頭に皿は無い 体全体に毛が生えており高学年の小学生くらい 特徴としては、 体育座りすると膝が頭と同じ高さになる,足が異常にながく細い よくガジュマルの木,アコウの木にいる 木の実が好きでまた貝も食べているらしい ガジュマルの根元に貝殻がよくあることから想像しているだけで実際に 見た人はいない。 相撲が好きで古老たちがわしも相撲をとったという人がよくいた。 強くはないが負け嫌いであまり勝つと集団でやられるらしい だからほどほどに負けてやったという 雅夢士の妻の曽祖父は板付け舟という奄美独特の板で作った舟で魚釣りを生業としていた 港の岬をちょっと回った所に釣り場があり魚を釣っていると舳先の方に 例の長い足を組んで座っているのだそうだ。何時の間に来たかわからないという。 {あらっ、何時来たの}と声をかけると人の声とも鳥の声ともつかない声で返事をしたという 当時は浜に塩炊きの小屋があった 塩炊きは夜に初めて翌日に炊き上げるので、一晩中火を焚いていた すると,けんむんがきて相撲を取ろうとせがむのだそうだ いまは信じる人は少なくなっている 雅夢士の知り合いにやくざの組に出入りする人がいた {40年頃まで鹿児島の00組の事務所があった」 正成兄はけんむんの存在をウソだと信じていなかった 当時はユワクという{結い」の仲間が沢山ありました 例に漏れず正成兄も結いに入っていて山畑の開拓にいった そして、けんむんのはなしが出て 正成兄が「そんなモンがいる筈が無い、もしいたらわんが捕まえてやる}といき込んでいっていた そして休憩の時間となりそれぞれが思い思いに草枕で休んでいた 30分の休憩が終わり鍬を手に荒地を耕しはじめた {あれ、正成兄やどぅ、だあちがいもさる」「どこに行ったの」 休憩の時用足しに行ったきり帰っていないことに気づいた皆は大騒ぎ 「いたぞ、」見つけた時は口の中一杯に梔子の実を詰め込まれた状態で泡を吹いていた 流石にそれ以後けんむんの話をしなくなった 雅夢士がそのことを聞いたときには笑って何も答えてはもらえ無かった やあさんでも恐れた一件の事件だった つづく 「やちゃ坊」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!