第3話『螺旋(らせん)』(仮)

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  お方様と呼ばれるのは、梛と梛弛の母親で…名を朔乃(さくの)と言う。 瑞梛(みずな)は、梛と梛弛の腹違いの姉で正室の子である。 「梛、今戻ったのですか?随分遅くまで、梛弛を探してくれていたのですね。 それで、梛弛は見付かったのですか?」 梛『母上…今戻りました。今まで探したのですが…依然として、梛弛の居所はわかりませんでした。 それどころか…手がかりも見付かりませんでした。申し訳ありません。』 「そうですか…まだあの子は見付かりませんか。 梛は、私の為によく、探してくれています。 見付からない物は仕方ありません。」 梛『母上…梛弛なら大丈夫ですよ。 ですから、その様にご心配なさらずとも、心配には及びませんよ。』 「そうですか…。 きっと…梛が申すのですから、あの子は無事にどこかで、幸せに暮らして居るのでしょうね。」 梛『そうですよ、母上。 オレは、姉上の所に行かねばならないから…これで失礼します。』 「そうですか…瑞梛様によろしくお伝えして下さいね、瑞梛様もあの子を探して下さってるのですから。」 梛『わかってますよ…ちゃんと姉上にお伝えして置きますから。』      ◎梛視点◎ 母上は、何時も梛弛の事を気にしておられる…ただでさえ、母上のお体は心労で弱っておいでなのに、本当の事など言えるはずがない。
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