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お方様と呼ばれるのは、梛と梛弛の母親で…名を朔乃(さくの)と言う。
瑞梛(みずな)は、梛と梛弛の腹違いの姉で正室の子である。
「梛、今戻ったのですか?随分遅くまで、梛弛を探してくれていたのですね。
それで、梛弛は見付かったのですか?」
梛『母上…今戻りました。今まで探したのですが…依然として、梛弛の居所はわかりませんでした。
それどころか…手がかりも見付かりませんでした。申し訳ありません。』
「そうですか…まだあの子は見付かりませんか。
梛は、私の為によく、探してくれています。
見付からない物は仕方ありません。」
梛『母上…梛弛なら大丈夫ですよ。
ですから、その様にご心配なさらずとも、心配には及びませんよ。』
「そうですか…。
きっと…梛が申すのですから、あの子は無事にどこかで、幸せに暮らして居るのでしょうね。」
梛『そうですよ、母上。
オレは、姉上の所に行かねばならないから…これで失礼します。』
「そうですか…瑞梛様によろしくお伝えして下さいね、瑞梛様もあの子を探して下さってるのですから。」
梛『わかってますよ…ちゃんと姉上にお伝えして置きますから。』
◎梛視点◎
母上は、何時も梛弛の事を気にしておられる…ただでさえ、母上のお体は心労で弱っておいでなのに、本当の事など言えるはずがない。
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