昔昔……ある島国の話。

2/3
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
爺「桃太郎行ってもう3日、桃太郎は無事じゃろうか……」 婆「お爺さん……行きたければ行ってもいいのですよ?」 爺「……何のことだ?」 婆「まったく……子供は斬らず、桃だけを斬る太刀筋……まだ衰えてはないじゃないですか」 老いた一寸法師「それはもう昔の話しだろう…… それにあれは幼い頃から一寸の体であった儂だったからあの鬼の中に入り針で倒せたのだぞ。 …あれは卑怯な戦法だったな。 それからは、何もない平和が続いたな。 そして、美しいかぐや姫がこの家に住んだ。 だが、儂は何もできずに、かぐや姫を守れなかった…… この平和ボケした老いぼれの儂に何が出来るのだ…… いや、もう何も出来ないのだ、儂には… そして、運命かどうかは知らぬが、今は桃太郎が儂が倒したあの鬼と戦うとは……」 婆「……なら、あの小槌を出してくださいな…… まさか忘れていませんよね?」 爺「そ、それは……」 婆「お爺さん……いえ、一寸法師。 また、今一度、この私を助けたあの力を出してくださいな」 爺「何を言うか婆さん。 儂はもう年を取り過ぎた。 婆さんみたいに、人間が入った桃を普通に持ち帰るという異様な怪力を宿すような力はもう無いのだ。 この小槌を使うまでもないぞ。 使ったとしても、たかが知れてるわ……」 婆「お爺さん……」 爺「儂らの時代はもう終わった、これからは……子供達が作る時代だ。」 婆「……そうですよね。」 image=476592999.jpg
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!