昔昔……ある島国の話。

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爺「金太郎が行ってもう3週間、金太郎は無事じゃろうか……」 婆「お爺さん……行きたければ行ってもいいのですよ?」 老いた桃太郎「……何のことだ?」 婆「まったく……桃に包まれて鬼の血を引いた特別な人間、動物達を仲間にする特殊過ぎる能力、親であった強い鬼を倒すほどの力と太刀筋と、冷徹な心……貴方の力はまだ衰えてはないはずですよね。助けてあげてもいいじゃないですか?」 爺「それはもう昔の話しだろう、もちろん衰えもあるさ、助けられるのがオチだ…… それにこの力は幼い頃から一寸の体で鬼の中に入り針で倒した、 もうまさに、人生が武勇伝ばかりのお爺さんの下で暮らせたから手に入ったものだぞ。 しかもあの鬼、いや、親父から取った…… いや、盗んだと言っていいほどの財宝で呑気にダラダラと生きがいもないままの生き地獄が続いた。 それからは海辺の散歩が趣味となり亀がいじめられている時にとっさに桃太郎なんぞ言えないから偽名としてとっさに浦島と名乗り、恩返しに期待してしまう嫌な奴だぞ。 そして、竜宮の乙姫にこのような爺にされたのだ。 こんなどうしようもない儂に何が出来るか…… それに、運命のイタズラなのか、金太郎も婆さんが言うとおり、動物達を仲間にする特殊過ぎる能力をしっかりとなぜか継承しておるわい…… 儂のようになってしまわないか心配になるのじゃが……」 婆「……そこまでいうなら、貴方があのお爺さんから貰った小槌をまた出してくださいな…… まさか無くしたりはしてませんよね…… あれがあったからこそ、あの金太郎はこの世に産まれてこれたような物ですからね。 あれがあればまた貴方は……」 爺「あの小槌は大事に持ってあるが……」 婆「お爺さん…… いえ、桃太郎。 今一度、あの鬼達を倒したあの力を出してくださいな。」 爺「……何を言うか。 儂はもう年を取り過ぎた。 この小槌を使うまでもないぞ。 使って、また若返ったとしても、力はあの事件から皆無、たかが知れてる。」 婆「……」 爺「……心配しても何も変わらないか。未来を背負うものは、あいつに変わったか……儂らの時代は終わったのだな……」 婆「……祈りましょ、お爺さん……」 爺「あぁ、そうだな……この世界の全ての生命に幸あれ。」 ~fin~
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