♯1死体は嘘をつかない

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部屋に戻った後やはりおかしいと思いレントゲンとカルテ、CTの断面図を見直していると現場から帰ってきた警官二人がいた。あまりきり詰めても仕方ないし取り敢えず挨拶しに行くか。と思い「今日から新しく入った天野彰です。よろしくお願いします。」 「よろしく。私は赤坂翔子。こっちは鈴木建一君。」と挨拶を済まして自分の机に戻ろうとした。ふと疑問が頭をよぎった。肋骨が心臓に刺さったら普通は胸部が血の海になるんちゃうか?でも被害者の胸部にはそんな形跡はなかった。じゃやっぱり死因は別にある!「玲姉!死因は別にある!」というと「何で?」「考えてみぃや。肋骨が心臓に刺さったら普通は胸部が血の海や!被害者の胸部は出血量が少なすぎる!」「確かに言われてみれば・・・違和感の正体はそれか!なんかおかしい思たんや!もう一回解剖するで !」二人は部屋に戻り解剖した。さっき診断書見てたよな?妙な所はなかった?」玲に聞かれた「仮説やけど死因は骨折によるものや。さっきレントゲン見てたけどこの被害者は幼少の頃脊椎を怪我した。ゆーてもヒビいってるだけで大事には至らんかった。でもその時毛細血管を普通に通る位の大きさの骨片が血管の中に入っていたらどうなる?当然どんなサイズであれ瘤ができる可能性が高いわな。でもその骨片は成長につれ無くなっていった。瘤自体は小さいサイズやったみたいやけど日に日に暴行されてたらそら破裂するわ。そやから俺は死因は頭部の動脈瘤破裂によるものやと思う。」言い終わると玲が「期待して損したわ。そんなん見逃すわけないやん。CT見たやろ?妙な所はなかったはずやで?」呆れた顔をして言った。「じゃ頭開けて見る?もしあってたら私は入りたての新人に負けましたって看板首からぶら下げてもらうで?」と言うと「いいよ」と言った。結果死因は頭部の動脈瘤破裂によるものだった。後日容疑者の自供で事件が解決した。
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