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「もう帰っちまったかな」
職員室を出ると、父さんに先に帰ってもらいク ラスへ急いだ。
俺のクラスは1年C組。
夢海のクラスはまだわからないけど、とりあえ ず3階に行けばハッキリするだろう。
担当職員が席を外していたり、父さんが手続き に手間取ったりで、すっかり遅くなってしまっ た。
俺はあの笑顔に会う為だけに、今日という日ど れだけ心待ちしていたことか。
―――まだいてくれ。
そう願いながら階段を駆け上がろうとし た時、 玄関から聞こえる声に足を止めた。
「夢海、何してんの?早く行くよ」
『夢海』
確かに聞こえたその名前。
俺は声をかけようと玄関に足を向けた。
けれど途中で足を止めると慌てて玄関の陰 に身 を隠す。
走って階段を駆け上がる夢海の姿が見えたか ら。
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