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教室に忘れ物でもしたんだろうか。
「夢海って意外とドジなんだね」
「意外じゃないよ。いーっつも」
「そうなの?」
「うん、超天然なんだなぁ」
玄関横のパネルヒーターに腰を下ろして、夢海 の話をする3人からは、ちょうど視角になる階 段。
チャンスとばかりに後を追いかける俺は、静か に階段をかけ上がった。
上がりきった正面には音楽室があり、その横に 1‐Aの教室。
―――どこに入った?
とりあえずA組から順番に覗いていると、1-C から出て来た夢海が非常口で足を止めて、何や ら外を眺めている。
―――同じクラスになれたのか?
わかった瞬間、心臓が激しく高鳴りだして。
―――落ち着け…俺。
まずは大きく深呼吸をして、勇気を出して声を かけた。
「あのさぁ……」
突然声をかけたのが悪かったのか。夢海の肩が ビクッと跳ねる。
―――やべぇ、警戒されたか?
恐る恐る振り向いた夢海は、俺を見て目を見開 いた。そして小さな声で尋ねる。
「な、何に?」
間近で見るとますます緊張してしまうけど、こ こは真剣さをアピールしようと真っ直ぐ見つめ て、まずは自己紹介から入った。
「俺、南城亮二。お前と同じC組だから」
「…そう」
興味がなさそうに一言だけ答えた後、一瞬考え た夢海は、すぐに表情を変えて驚いていた。
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