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ここは夢海にちゃんと説明してもらおうと思っ ていたのに。
「えっと……、彼はね。なんて言うかその……」
ハッキリ彼氏だと紹介してくれない事に苛つい て、
「俺、南城亮二。1年C組、んでもって夢海の彼 氏な」
さっさと自分で言ってしまう。
「「「…えっ?えぇぇ~…-」」」
3人の驚く声が見事に重なり、玄関中に響き 渡った。
「うっそ…。夢海って彼氏いたんだ」
「夢海達と同じ小学校?」
背の高いやけに大人びた女と、その隣のタレ目 の女はさておき、口を尖らせ不機嫌にな る最初 の女は相変わらず睨んだままで、どうやら俺達 の事を快く思っていな い様子。
「聞いてないし。てかさ、小学校違うしね」
その態度にカチンときて。
「T市から引っ越して来た。夢海に一目惚れし て、さっき告白した所。もちろんOK貰ったか ら夢海は俺の彼女だ。文句ある?」
初対面でいきなり低い声を放った俺を、そいつ はポカンと口を開けたまま、目をパチクリさせ て 見ていた。
「さ、さっきって……。夢海、本当なの?」
「う、うん。なんかね、私も一目惚れしちゃった みたいで……」
“一目惚れ”
夢海の口からそんなフレーズが飛び出して、思 わず顔が綻んでしまう。
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