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住み慣れたこの町を離れるまで後数日。 急な引っ越しが決まったのは3ヶ月前で、その 原因となる事件が起きたのが4ヶ月前。去年の 12月、冬休みの事。 友達と雪合戦をして遊んで帰ると、リビングか ら何やら揉めている声がする。 そっと聞き耳をたてた俺の鼓膜に、子供には酷 すぎる現実が飛び込んでくる。 『貴方に隠し子がいたなんて……。しかも亮二 と同じ歳なんて酷すぎる』 それは泣き叫ぶ母さんの声。 『すまなかった。本当に申し訳ないない 彼女が妊娠していたなんて、ましてや勝手に出 産していたなんて、初めは全然知らなかったん だ』 見苦しい言い訳をする父さんの声も聞こえる。 父さんの浮気、母さんを裏切っていた。いくら 子供の俺でも、その内容は十分理解できる年齢 だ。 ―――まさか……、離婚? 最悪の結末が脳裏を過った時。 『結婚前の事は若気の過ちで目を瞑ります。で も、その女や子供が同じ町にいるなんて耐えら れない。もうこの町にはいたくないわ』 母さんは父さんを許した。そして年明け、突然 決まった引っ越し。 全て大人の身勝手な事情だった。 そんな時、俺に追い討ちをかけたのが八木乃里 子(やぎのりこ)の出現。腹違いの妹。
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