-Overture-

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…ムラキと暮らし始めて数年が経つ。 俺がムラキと勇者の゛事情゛とやらを知ったのは。…今から二年前の事だった。 …信じられないことに。俺が手を取った人物は゛魔王゛とゆう職業をしているらしい。 …それは。この国に最初の゛勇者゛とやらが現れて、何日か経った日の事だった。 「ねー、レンレン。パレード行ったんでしょう?勇者ってどんな子だったー?」 「…何?敵が気になるの?」 …食器を洗う俺の後ろから抱きしめて肩に顎をのせたムラキの髪が、サラサラと首にかかる。 「んー。敵じゃないけど、気になるなかなー?」 …そう言ったムラキに首を傾げながら、俺は言葉を紡いだ。 「…すっげー。ムキムキの男だったけど」 「じゃあ、今回もニセモノだ」 …そう言って、ふふふっと楽しそうに笑って離れていったムラキに首を傾げる。 「…なんで、分かるんだよ」 「だって、勇者は黒髪で黒目の女性だからだよー?」 「は?」 「…そうゆう事になっている」 …どうやら魔王には゛勇者゛が分かるらしい。 「…僕は勇者に眠らされる運命だから、いつ来るかドキドキしてたんだけどさぁ。 …やっぱりニセモノかぁ。眠ったら1000年は起きないから、レンレンはここを自由に使っていいよー?」 ゛ちょっと買い物に行ってくる゛ってくらい軽く言って、ソイツは笑った。 …おかしいだろ?今まで、二人で暮らしてきたのに。 …俺は、どうなる。    
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