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朝6時過ぎであったが、まだ夜更け近い天気であった。
掛け布団に予めかけておいた、血で赤くなったタオルを取り布団の下に潜らせる。
「う、お兄ちゃん、おはよう、あいにくの天気だね」
ねまき姿の真弓は写真に話しかけていた。
ピューピューと息を立てながら。
白黒の写真であったが、一人の青年と真弓自身が写っている。
ミシミシと一階から誰かが上がってくる音が聞こえる、母のお菊だろう。
気づかれないよう、何もなかったかのように横になり目をつぶる。
音を立てて入ってきたのは予想通り母だった。
「真弓。体の調子はどうだい?」
ねまき姿の母、お菊が部屋の窓ガラスをガタガタと音を立てながら開けた。
「ん、おはよう。今日は調子いかも」
「それはよかった。ご飯持ってくるね」
そう言うと一階へ戻っていった。
真弓はねまきの開けているのを直し上着を羽織った。
布団から体を起こして、本棚から暇つぶしの為の本を取りに行く。
「今日はこの本を読もう」
片手に持ちながら壁にかかっているカレンダーを見る
「今日は花火大会か、このままだと中止かな―ゴホッゲホッどちらにせよ関係ないけど」
窓際まで近寄り、曇天を眺めた。
「こら真弓、ちゃんと寝てないとダメでしょ」
一階から朝食を持ってきたお菊はお盆を持っていた。上には味噌汁と漬物と白飯と簡素だった。
「今日調子良いって言ったじゃん」
そう言って布団に戻る。台を置き、朝食も上に置く。
食べ終わったら言ってねといいまた下に戻る。
外は予想していた通りポツポツと雨が降ってきた。
「いただきます」
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