第1話

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そんな懐かしいことを思い出すと (あの詩は・・・・・・) 先ほどの詩を思い出す。 10月頃だったか、庭先に真弓と同じ名前の花が咲いていたのを兄と見つけた時だ。 「ヤマニシキギが咲いているね」 縁側で隣に座っている兄が腕組をして見ている。 「ヤマニシキギって」 「真弓と同じ名前の花だよ、なんでも朝鮮半島の異国でも咲いているそうだよ」 ふーんと思いながら話半分に来ていたが、1つ感動したものがあった。 「万葉集って知っているかい。その中に今の僕にピッタリな歌があるんだよ。お前の名前が入っていてね―」 「んー・・・」 あぁ、なんで気づかなかったのかな。 なんでもっと早く、あの日に気づけば。 手が届きそうだったのにな。今になってはどうにもならないことだ。
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