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「はるや自身、まだ自覚していないけれど、彼は私達を脅かす神父の生まれ変わりなんでしょう?」
「私もカナーンから聞いていたけれど。……バートリ神父のこと」
シャナンは加奈から離れ、青ざめた。
「神父って言っても、人間でしょう?」
「ええ、そうね」
そんなに手ごわい相手なのか?
シャナンの浮かない表情を見て、加奈は少し不安になった。
「とにかく、私と来るという決心はついたのね?」
シャナンは話しをそらすように、そう続けた。
「シャナンと行く。そして、シャナンを守る」
「加奈……嬉しい。あなたと一緒にいられるのであれば、私はいつ灰になってもかまわない」
「そんなことはさせない」
断言する加奈に、シャナンは困ったように弱々しい笑顔を見せた。
そんな笑顔を見せるシャナンを、加奈は再び抱き締めた。
人間としての生活を捨てる。
そして、シャナンを守る。
もう、それしかない。
加奈は人間として生きることを諦めた。
日暮れどき、雪の振る中、加奈とシャナンは寄り添ってマンションを後にした。
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