安息

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 甘えてくるシャナン。  こんなシャナンは知らない。  これがカナーンといる時のシャナンなのか。  加奈はシャナンの態度に戸惑った。 「加奈、ごめんなさい。私、嬉しくて……」  加奈の戸惑いが伝わったのか、シャナンは頭を上げて加奈から離れようとした。 「シャナン、いいの」  加奈は傍から離れようとしたシャナンの腕を掴み、瞳を見つめた。  憂いを溜めた深く青い瞳。  愛しいシャナン。  加奈はもう片方の手でシャナンの肩を掴んで傍に引き寄せた。  そして、加奈の膝によろけるように座り込んだシャナンに、自分から口付けをした。  リードしてみたものの、加奈は緊張してただじっと唇を合わせるのが精一杯だった。  シャナンはそんな優しいキスでは満足せず、冷たく柔らかな舌が加奈の口中を攻め始めた。 「ん……」  加奈は手も足も出ない。  シャナンの行為にただ身を任せるだけだった。  体がじんと痺れるような感覚。  力が抜けた。  加奈の膝に座ったシャナンは、加奈のローブをはだけ、胸に手を滑り込ませて唇をうなじに這わせた。 「あぁ……」  鼓動が早くなり、加奈は自然と吐息を漏らした。  目を細めて恍惚に身を任せていた加奈だったが、突然がっくりと頭をたれたのだった。 「加奈?」  シャナンはそっと名を呼んだ。  加奈は急に顔を上げてぎょろりと目を見開き、乳房の辺りにあったシャナンの手を掴み上げて振り払い、眉を寄せてすっくと立ち上がった。 「シャナン、無礼な真似をするな。私を呼び起こすためにわざとこんなまねをしたな?」 「カナーンなのね?」  突如、カナーンが現れてシャナンは嬉しそうに微笑んだ。  カナーンははだけていた胸元を正した。  ――カナーン、私を押しやって、勝手なことをしないで! 「黙れ! お前こそ勝手なことを! シャナンの前から姿を消せといったはずだ」
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