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「嫌……恥ずかしい」
「何を言う。吸血鬼として立派に生きてきたのだろう? 今更、生娘のようなことを言うな。私と共にいるということは、こういうことだ」
「……悪趣味」
「悪態を吐いても、止めぬ」
カナーンは、ただ、シャナンの肢体をにやにやしながらじっと見つめているだけなのだが、シャナンの顔は益々紅潮して、息までもが弾み、そのたびに豊かな胸が揺れている。
「いい眺めだ」
「いつまでこうしているつもり?」
「飽きるまで。それとも、見られるだけでは嫌か? 触ってほしいのか」
「意地悪」
「ふふふ」
カナーンは床にシャナンを押し倒し、白く張りのある乳房を、手と舌で巧みに攻め立てた。
ビロードのようなシャナンの波打つ黒髪が床に広がり、シャナンが高揚し、いやいやと首を振る度、黒髪が体と共にうねった。
「美しい……」
カナーンは一晩中シャナンをむさぼるように愛し続け、シャナンは喜びの声を幾度となく上げることとなった。
まるで最後の別れを予感しているような、カナーンの行為。
外は荒れ狂うような吹雪。
暗闇の中、白い雪が生き物のように、激しく渦巻いていた。
二人の行く末を暗示しているようだった。
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