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「バートリを消し去るまでは、お前に触れまいと誓っていたのだが」
カナーンはシャナンが羽織っていたガウンを指先で肩からずり落とし、おとがいから胸元にその指を走らせ、嘗め回すようにシャナンの身体を見つめた。
シャナンは薄手のネグリジェを通して、素肌を目で陵辱されているように感じた。
その瞳から逃れたいという思いと、何もかも忘れるくらい、カナーンにめちゃくちゃにされたいという相反する思いが混同し、シャナンは身動きができないでいた。
カナーンの指先はネグリジェの上から胸元を執拗になぞっている。
抑えようとしても抑えきれぬ欲望。
その指先で、もっと触れて欲しい。
シャナンはカナーンを渇望した。
「寂しかったか」
「そんなこと……ない」
荒い息遣いの合間に、シャナンはやっとの思いで答えた。
「我が魂は、何時もお前と供にある。例えこの身が滅びようとも」
カナーンの優しい囁きは、シャナンを一層、快楽に溺れさせた。
カナーンに愛されている。カナーンを失いたくない。
「愛しいカナーン……」
シャナンはカナーンの背に両腕を絡ませた。
カナーンの指先は、ネグリジェをたくし上げてシャナンの白い腿を露わにした。
「邪魔な布だ! お前の美しい身体を包むのは、私の手だけで充分だ」
カナーンは躊躇いもなくシャナンのネグリジェを引き裂いた。
カナーンの行為に、シャナンは思わず声を上げそうになり、口に手を当てた。
「カナーン、誰かが目を覚ましたら……」
「こんな夜更けに? 邪魔をする奴は眠らせればよい」
カナーンは手を休めようとせず、シャナンの言葉に一層、触発されたかのように、白い素肌へと指先を滑らせた。
カナーンの指、手の平が、シャナンの大理石のように艶やかな肌の上で、執拗に這っている。
シャナンは壁に寄りかかっていたのだが、立っているのがやっとだった。
気を抜くと足の力が抜け、意識が遠のきそうになるのだ。
カナーンは時折、恍惚に浸っているシャナンの顔を眺めては、目を細めてにやりとしている。
シャナンは恥ずかしさに目をそむけ、まともにカナーンの顔を見られなかった。
カナーンの魔性の瞳を見つめてしまったら、それだけでその場に崩れこんでしまうかもしれない。
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