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カナーンが唇を離し、冷たい微笑をたたえながら娘の顔を見つめた時には、娘は既に恍惚とした表情になり、目はうつろだった。
「人間の男にお前の身を委ねようとは、無粋極まりない。ましてや、あのはるやとか言う若造を好いているというのか。このカナーンが、おまえの目を覚まさせてやろう」
「カナーン様……あなたの思うままに……」
「ふふふ、可愛いことを言う。その美しい体を私の前に差し出すが良い」
カナーンは娘をソファに押し倒して、乱暴にブラウスのボタンを引きちぎり、下着までも引き裂いた。
そして、赤い舌を彼女の首筋から胸元にゆっくりと這わし、弄んだ。
「あぁ……カナーンさま」
娘はカナーンにされるがままだった。
「えもいわれぬ快楽を、お前に与えてやろう」
カナーンは、にやりと口の端で笑うと、その冷たく細い指先を乳房へと伸ばした。
カナーンの指先の動きに反応し、若い娘の豊かな白い双丘は、荒い息をするたびに揺れた。
「高揚した娘は美しい。血もまた良い匂いを放つ」
再びカナーンは唇を激しく重ねた。唇を塞がれたまま、娘は喘ぎ声を漏らす。
カナーンは何かが潜んでいる気配を感じた。
口付けをしながら、目だけで部屋の中を見回し、耳を澄ませて辺りを窺った。
「……シャナン! さきほどからずっと、ここにいるのであろう! 隠れていず、姿を現せ!」
カナーンは突然顔を上げ、苛々した口調で叫んだ。
「カナーン……」
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