第5話

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ヘリオスが仕事を数件片付けて風呂から上がると、セラは既にリビングにいた。ソファの上でころりと丸くなって眠っている。ヘリオスは微笑んだ。まるで子どもだ。そっと抱き上げると、セラは首にしがみついてくる。無意識だろうが、ヘリオスの首筋に顔をうずめ、幸せそうに吐息を漏らす。 危ない。 理性が吹っ飛びそうだ。 ヘリオスはベッドにセラをおろして、自分も横になった。緩く上下するセラの胸。細く長い手足のどこに、あんな力を隠しているのかと思う。 そっと抱き寄せて、髪に口付ける。ゆっくり手を動かして肩を撫でてやると、気持ち良さそうに寝返りを打ち、ヘリオスの懐に収まった。額をヘリオスの胸板につけて、ぐっすり眠っている。 そんな無意識の動作一つひとつが、無性に愛おしい。いつもながら、セラの姿態はヘリオスの体温を上げるのに充分すぎる。だがさすがに、今日はヘリオスも疲れていた。 規則正しいセラの寝息を聞きながら、ヘリオスもまた眠りに落ちて行った。
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