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とある世界に、一人の英雄と呼ばれた少年が居た。
少年は、世界を帝国の魔の手から救いだし、世界に平和をもたらした。
だが、その平和は一時のものでしかなかった。
平和を崩したのはまたもや人間であった。
『英雄は帝王以上の力を持っている。だから、今のうちに始末しておくべきだ』
『誰のおかげて帝王の支配から救われたと思っているんだ』
そして、人々は英雄を巡り、またもや争いを始めた。
英雄は争いを誰よりも嫌っていた。だが、自分のせいで争いが起きたとなれば黙っているはずがなかった。
ある日、少年は町の近くにある森に来ていた。
「この世界の魔王となった俺に、居場所はない」
腰に刺してある剣を抜く。
「罪ある人間には裁きが必要だ」
切っ先を自分の心臓に向ける。
「さようなら、俺の……愛した世界!!」
そして、刃を自分の心臓に突き刺した。
ここに一人の少年、英雄ロスト・セシルはこの世を去った。
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