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「…啓太くん、どうし…」
言いかけた杏子さんを
そのままぎゅっと抱きしめた。
「杏子さん…
俺…杏子さんが好きだ。
杏子さんも悠斗も…
誰にも渡したくない」
「……………」
「もう…大切な人を
失いたくないんだ。
杏子さんが旦那さんを
思い続けるその気持ちも…
丸ごと全部受け止めるから。
…だから…
そばにいてもいい?」
抱きしめたまま言った俺に
杏子さんはクスっと笑った。
「…お鍋…出来てるよ?
一緒に食べよう」
杏子さんの手が
そっと俺の背中に回って
作業服をぎゅっと掴む。
「杏子さん…」
正面に顔を戻して見つめた
杏子さんの瞳は
涙でいっぱいだった。
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