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「そうか、ならあれを貰っていこう」
「毎度ありー!!」
やった!開店初日から目玉商品が売れた!……と喜んでいたのだが、客の男は金を払わずに魔具を持って行こうとする。
「ちょちょちょっと、お金を払って下さいよ!」
「あん?金?英雄の息子がお前の店の魔具を貰ってやろうってんだ、光栄だろ?むしろ俺が金を貰っても良いくらいだ」
そう言って男はガハハとその出っ張った腹を抱えて笑った。
英雄、それは世界が大混乱に落とされた時に魔物を葬り国に、世界に大きな貢献をした人物に与えられた称号。
現在でも強力な魔物を討伐したり、街を救ったりした人物に国から与えられることになっている。
確かヒノデの英雄は3人。ヒノモト全体では10人いたはずだ。
英雄は特別で多少の犯罪行為ですら見逃されてしまう。無論、真面目に英雄を目指すものが大多数だが、英雄の特権を目的に英雄を目指すものも少なからずいる。
どうやらこの男は勘違いバカ息子のようだな……いい歳こいてなにやってんだ。
「英雄の権利は英雄だけの物だ。英雄の家族には適用されない」
「カッ、知ったことか。それじゃあ、この剣は親父に頼まれて取りに来たもんだ。これならいいか、あ?」
「いいわけあるか。金が払えないんならギルドに突き出すぞ」
「俺とやろうってか?いいぜ、表に出ろよ」
この男、随分と強気だな。何か父親から訓練でも受けてるのか?
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