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「でやぁああああああ!!」
男が腹の肉をブルンブルン揺らしながら近付いてくる。
振りかぶられた大剣、勿論僕はそれを…………避けない!
男によって振られた大剣は僕の首に当たるとピタリと止まった。
首は全く切れていない。
「あ、あれ?でやぁああああああ!!!」
男は攻撃を繰り返すも結果は同じ。俺には傷一つ入らない。
異常性に気付いた男は息を荒立てながら聞く。
「はぁ…はぁ……、なぜだ!なぜ切れん!」
「馬鹿な人です……当たり前でしょう?それは魔具なんですから」
魔具には干渉条件とは別に使用条件も存在する。無論、使用条件を満たしていないと魔具の能力は使用できない。
杖の魔具なら基本的に手に持っていないと発動しない。そして男の持つ魔具の使用条件は『二本とも手に持つこと』。
男は一本持つだけで体力の限界だったようで、もう一本は店の中。能力なんて発動する訳がない。
まあ、普通の魔具であれば能力が発動しなくても切ることは出来るのだが、あの魔具は駄目だ。一対で握っていないと切ることはおろか、叩きつけても全くの無駄だ。
そんな事を知るはずもなく、男は混乱するばかり。挙げ句の果てには、うちの店は欠陥品を売り付けたなどと宣っている。
欠陥品じゃないし、そもそもお前に売った覚えはない。
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