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「はい、それではこれが地図になります」
そう手渡された地図を見る。
街の中心からそれほど離れていないし、大通りに面している。その上、兵士養成施設の近く。まさに理想的な立地だ。
現在地はギルド。魔物により破壊された色々を手広く扱う機関だ。ギルドの扱う仕事の中には猫探しの依頼だとか、強力な魔物の出現情報、そして、今回の俺のように店舗の出店許可なども含まれている。
「また何か、必要になりましたらご連絡下さい」
そう言って丁寧に頭を下げるギルドの係員に見送られて渡された地図の場所へ向かう。
手続きの不備で三時間待たされた時はどうなるかと思ったが無事に許可が貰えて良かった。
今の気分なら空も飛べそうだ。…………実際飛べるけど。
いつもは重いと感じる荷物も今は全く苦にならない。まるで羽のようだ。
そんな気分で歩くこと数十分。念願の我が店に辿り着いた。
店は大通りが交差する角地に建っていて一階が店舗、二階が居住スペースになっているようだ。
「んっ~~~~~~~~っはぁ!」
昼には街に入れたのに辺りは既に夕闇に包まれている。
「開店は明日からにして今日はもう寝よう……」
商売道具の詰まった鞄をドサッと床に置いて、その日は眠りについた。
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